お寺に行って仏様と心を通わせ、穏やかに拝観したいけれど、観光客がいっぱいでそうもいかないときって悩みますよね。
「拝観客がたくさんいて急いで見ただけだった。なんだかすっきりしないな」
わざわざお寺に来てこんな風に思うとしんどいですよね。
福智院は、観光地から少し離れた『ならまち』の片隅にひっそりと佇む、隠れた名寺です。慈悲深い地蔵菩薩と思う存分心を通わせ、共鳴し合えます。
地蔵菩薩に見守られながらゆっくりと内省し、心を整えられると良いですね。
地蔵信仰の霊場・福智院の由緒
創建年
建長6年(1254)
創建者
玄昉(清水寺)
ご本尊
地蔵菩薩坐像(鎌倉時代・重要文化財)
宗派
真言律宗(総本山・西大寺)
由緒
福智院は、聖武天皇の時代に玄昉が建立した清水寺の遺鉢を受けたお寺です。建仁3年(1203)に、福智庄(現在の奈良市狭川町)にて本尊が造立され、その後現在地に移されて福智院が創建しました。
かつては興福寺大乗院の地蔵堂であり、地蔵信仰の霊場でした。
地蔵菩薩は人々の苦しみや悩みを消し去ってくださる方で、家内安全や心願成就など10種のご利益があります。
福智院は奈良市にある、『ならまち』の片隅に佇む小さなお寺です。
主要の観光名所から外れた場所にあるせいか偶然なのか、私はこれまで団体客を見かけたことがありません。拝観のタイミングが一緒になったのは、せいぜい1組か2組くらいです。
お寺の人も「私どものお寺は、静かに拝観したい方に好まれる」と言われていました。
宗教的な洞察を求める人におすすめのお寺です。人目を気にせず、信仰を深められますよ。
心に響く優しい般若心経、苦しい心を少しでも楽にしませんか。かわいい猫ちゃんの写真入り。
慈悲無類の地蔵菩薩坐像
お地蔵さまと言えば、一般的に道端にある小さな仏像を想像される方も多いと思います。福智院のご本尊は、高さ6.6mもある迫力満点の地蔵菩薩です。
右手に錫杖を持ち、左手には宝珠を捧げています。特徴的な点は、完全な胡坐ではなく右足が少しだけ前に出ているところです。この理由は、救いを求めている人々をすぐ救済できるように準備されているためだと言われています。
地蔵菩薩は仏様の中でも庶民に近い存在なので、肩肘を張らずに拝観できる方です。
私はその佇まいや存在感を通して、どこか深い次元で見守られている感覚がありました。自分の心の状態を内省し、静かに観察するよう促されている気さえする地蔵菩薩です。とても穏やかな気持ちになり、導きを受けているような気持ちを抱きます。
堂内の仏さまとお寺の方の優しい対応
オリジナル授与品と心穏やかになるそのほかの仏さま
堂内では福智院の書籍やグッズも授与されていました。上の写真は私が購入した、地蔵菩薩が描かれているお守り(300円)です。
仏さまはご本尊のほかにも、阿弥陀如来坐像や弘法大師座像などが安置されています。
また、ご本尊の左側にいらっしゃる興正菩薩座像は、大乗院慈信僧正と共に福智院再興に関わった重要人物です。
元々地蔵菩薩が造立されたのは別の場所で、完成後に興正菩薩によって現在の地に移されたと言われています。
私にとっては、日々の喧騒から解放して心を穏やかにしてくれるような仏さまたちでした。
ご縁を大切にとの想いが伝わる!お寺の方のお話
堂内に入ると、お寺の方が福智院について説明してくれます。
正直、最初は少し話しかけにくい人かと心配でした(笑)。しかし、地蔵菩薩に対する想いや敬意が伝わってきて安心しました。今時、こんなに丁寧にお話をしてくれるお寺はそうそうないかもしれません。
そんなお寺の方曰く、福智院では御朱印のみの対応はしていないそうです。
受付と御朱印、そしてお寺の説明を一人でしているので、かなりお待たせすることになると言われていました。同時に仏様とご縁を結んでから(拝観してから)、御朱印を受け取って欲しいといった想いもあるようです。
御朱印目的の方は少々残念に感じるかもしれませんね。ただ、地蔵菩薩との出会いを大切にして欲しい気持ちが、授与の仕方から伝わってきます。
心に響く優しい般若心経を読んでみませんか。かわいいワンちゃんの写真入り。疲れているときこそ読んでほしい本です。↓
柴犬まるのワン若心経
小さいながらも見どころいっぱいな境内の様子
門をくぐってすぐ左に安置されている、勝軍地蔵尊。甲冑をつけて馬に乗っている、なんとも勇ましいお地蔵様ですね。武将たちの守護仏として祀られていたといわれています。
門横に置かれた福智院創建者・玄昉僧正顕彰の石碑。
本堂横に並んでいる、たくさんの五輪塔と石仏。小さな境内でひときわ存在感を放っていました。
すぐ近くに大きな道路が通っていて人が多く集まる観光地があるとは思えないほど、静寂な空間が流れている境内です。
まるで山寺に来たかのような、穏やかな時間が流れていました。
豊富でかわいい!福智院の御朱印
福智院には、絵柄入りや限定ものなど、さまざまな御朱印が販売されています。
まずは、通常の御朱印です。私が頂いたのは限定版でしたのでピンク色をしていますが、実際は白地に印字されています。1枚300円。
こちらは、6体のお地蔵様が描かれた絵付き御朱印です。1枚500円。
続いては、ぼさつの寺めぐりでいただける福智院の御朱印。勝軍地蔵が描かれているかっこいい御朱印です。1枚500円となっています。
こちらは、青面金剛が描かれた御朱印です。よく見ると弓や人(?)のような物体をもっています。恐ろしい姿ですが、かわいらしい絵柄なためあまり怖さを感じません。1枚500円。
最後は、勝軍地蔵の御朱印です。こちらは、カラーと白黒があります。白黒のほうが、若干紙が薄いので御朱印帳に貼りやすいそうです。
部屋に飾りたいので、今回は分厚い紙の方をいただきました。1枚1000円です。
このほかにも、奈良にあるさまざまなお寺を巡る、大和地蔵十福の御朱印もありました。
こちらはあくまでも現時点での御朱印です。時期によって内容が変わる可能性があります。参考程度に留めて戴けると幸いです。
まとめ
福智院は奈良市内の喧騒から離れた場所にあり、訪れる人々に癒しと内省のひとときを与えてくれるお寺です。
静寂な堂内にいると、よりいっそう地蔵菩薩の深い慈悲の心が感じられます。また、仏様と心を通わせた経験は、あなたに新たな気付きや平穏をもたらしてくれるでしょう。
ぜひお寺の門をくぐってみませんか。
奈良旅行のお供に。ならまちや奈良公園、白豪寺周辺の寺社について紹介されたガイドブック最新版↓
るるぶ奈良’25 (るるぶ情報版) ムック – 2024/1/10
年中行事
真言律宗清冷山 福智院
〒630-8381 奈良市福智院町46
Tel:0742-22-1358 Fax:0742-22-1398
拝観時間:9:00~16:00
定休日:不定休
通常拝観:大人500円 小人(小学生以下)250円
宝冠十一面観音菩薩立像 特別公開:大人 600円 小人(小学生以下)300円